最初の一滴

身近に流れる多摩川。毎週のようにその脇を自転車で走っている。
流れに沿って海まで走ったこともあった。
上流に向かって奥多摩まで走ったこともある。
じゃあ、その先は?
その先は名前を変え丹波川となる。そしてその先、多摩川の生まれる場所、最初の一滴が落ちるところへ行ってきた。

多摩川の源流の水干があるところ、山梨県塩山市笠取山
笠取山へ登るには作場平から行く。他にも上り口はいくつかあるがここが一番メジャー。そこまでは自転車で行くことになる。
なにせ塩山市からタクシーだと片道9000円くらいらしいし。
笠取山の往復はおよそ4時間。それを考えると10時には登り始めたい。さらに逆算すると・・出発は5時。さらに体力温存を考えると・・

3:00起床 前日までに準備を済ませてあるので食事トイレ着替え。
4:00出発 空はうす明るい。
三日月に見えない・・









トレッキングポール2本をハンドルとフォークにくくりつけ、トレッキングシューズ、レインウェア、カメラ、食料もろもろをリュックに詰める。重いが仕方ない。体力温存、肩腰への負担を最優先に考え走る。

4時過ぎ多摩川へ出るが思った以上に明るい。もう日は上がり始めている。25km/h以下を守り走る。さらに40分くらいきりのいいところでリュックを下ろし、小アンパンを補給。福生羽村で休憩し青梅、奥多摩湖に7時到着。予定通り。

アンパン、ウィダーを補給後出発。

フォークとハンドルに固定したストック、見た目は不思議な自転車になっているが思わぬ効果が。ハンドルの上に出っ張ったストックを持って走ると上体が起きママチャリポジションになり楽に走れる。


湖面に映った山がきれい。気づかないうちにスピードも上がり山梨県へ。丹波山役場に最後の自動販売機があるので先はまだ長いが登山時のペットボトルを2本買い背負う。途中で買った昼食のおにぎりとあわせてリュックは出発より重くなってる。
大菩薩ラインに入り急坂も増えてくるが省エネ走行で乗り切り、ようやく出発点の一ノ瀬林道へ到着。

ここからは未知の領域。地図上作場平まで900mから1300mまで登る。
林道は一車線だが舗装がきれいで最後まで走りやすかった。傾斜はそこそこあり10%超えれば蛇行。標高を見ながらそろそろかなって思ったところで標識を発見したところで曲がったのだが、登山者ようの標識みたいで間違う。別荘の人に聞いて元に戻り、作場平へ到着。9:30。
駐車場もいっぱいでかなりの人が来ているようだった。

自転車をトイレの裏に隠し、帽子、シューズ、ズボンを履き熊よけ鈴をつけ準備完了。

入り口付近は苔生した岩と沢を横にみながら進み、徐々に上り始める。基本的に遊歩道が設けられているので登山者が多いことがわかる。雨の影響で地面はぬかるんでいるので気を使いながら進む。周辺は沢の音と鈴の音のみ。

ヤブ沢峠と一休坂の分岐点をヤブ沢峠を選び進むが登りがきつくなり始めるとかなり体にきてることがわかる。特に腕。ダブルソトックは脚への負担は軽減されるがそれを腕が肩代わりすることになる。四足動物のように歩けるので脚への負担は軽く、歩行速度も上がるのだが、ここまで自転車できているのでそうはいかない。脚は大丈夫だが腕が上がらず一息入れまくり。周りに人もいないのでだらだら。仕方なしに音楽を聴きながら進みようやく合流地点の笠取小屋へ到着。

ここまでくればあと少し。

そして、小さな分水嶺へ到着。この地点から富士川多摩川、荒川へ分かれるのだという。

次は笠取山への登頂。

てっぺんが見えないんですけど・・・
近くまでくるとたくさんの人が登っている。中には3才くらいの子供まで。登頂1953m、今登ってきた所を振り返ると・・・

頂上はとにかく蝿だらけ、あと人も。みんな昼食中。

気をつけて降り、いよいよ水干へ。
頂上にいた団体さんと重なり、じっくり見れなかったが退散するのを待ち、その滴が落ちるのを待つ。

奥の穴の上からぽたっぽたっと落ちてくる。ついに目にすることができた。暗くて写真が撮れなかったことが残念だがその滴を6適ほどゲット。今夜はこいつでカクテルを作ってもらうのだ。

目的も達成したことだし、後は帰るのみ。
4時に出発して、12:30折り返し。GPSのバッテリーも限界。カメラの電池を使って充電しなんとかつなぎ止める。
14時下山。準備をして走って帰る。ちょっと遅い時間だったが、帰りにのめこいの湯で湯につかる。ぬめぬめの水質。食事もしっかり済ませ16:30再出発。休めたおかげで疲れを感じることなく19:30には走って帰ってこれた。

22時には友達の家に行くつもりだったが、ダウン。あきらめた。

走行距離 180km
歩行距離 9km
外出時間 4:00〜19:30
消費カロリー 10000kcal
補給 ボトル×9

全長138kmの多摩川の原点への到達。ちょっと無理のある計画だったが達成感あり。なんせきっかけは一週間前の旅番組。見た瞬間行くっきゃない、ということで挑戦。でもやってよかった。

そういえば、最初の一滴は土っぽい味だった。